絵日記あるいはネタ帖
月曜に録画をみて今日再放送を見た最終回。大河ドラマは義経あたりから見始めたんですがこんなに長く観ていたのは初めてだよ。
というわけで全編通して、主要人物に的をしぼり感想だか考察だか紹介だか分からんものを書いてみました。あまりまとまってないのは文章力がないからです。というか最終回みてから放送期間中に思ったことなど思い出しつつちまちま書きためてたら自然と冗長になった。
というわけで全編通して、主要人物に的をしぼり感想だか考察だか紹介だか分からんものを書いてみました。あまりまとまってないのは文章力がないからです。というか最終回みてから放送期間中に思ったことなど思い出しつつちまちま書きためてたら自然と冗長になった。
・生きた、愛した
歴史的意義とか勘助死後の武田家がどうなる、といったことよりも、登場人物の「今を生き切る意志」みたいなもんが印象的でした。後の世の後知恵でごちゃごちゃ抜かすな、みたいな。
・勘助
中年まで浪人生活を続け、外見への差別を乗り越えた末ついに軍師としてとり立てられた就活生たちの希望の星。「自分にとって(守るべき)国とは人なのだ」との言葉どおり、武田への恨みを解き軍師として採用してくれた信玄、勢いで惚れ込み助命してしまった由布姫の両者に天下を取らせるため良くも悪くも奮闘→それでは偏っている、軍師として志が低すぎると敵味方あらゆる人に突っ込まれまくる。由布に「もっと視野を広く持て」とか説教してたけど人のこと全く言えんやんけ。だがその到底軍師らしからぬ視点の低さが逆にいじましい。
彼にとってミツ・リツが面と向かって「勘助はこういうところが素敵じゃ」と評価してくれる存在だとすると、由布姫にはミツに重ねてというよりもむしろ己の核となる部分に共鳴するところがあったんじゃないか。ある意味もっとも弱く醜く柔い部分に。でもあくまで〔一方的な感情移入〕→←〔何でも素直に話せる信頼感〕という関係なので互いに相手の本質を理解しようとしてるわけじゃないのなー。信玄ダークサイドの代弁者たらんとしている勘助だが、自身のダークサイドは由布姫に代弁させていたような節がある(そう思うと嫌な共犯関係だなこの三人)。
・信玄
勘助、由布姫と並ぶ欲望肯定キャラ。人たらしの素質と厚黒さをかねそなえた戦国武将。ヒゲ生やしてからは普通に男前に見えた。とくに坊主頭はおまんじゅうみたいで美しい、触りたい。ハムレットのごとき悩める青年時代、メイクも黒いぜ暗黒時代を乗り越えたのちはあまり変化しなくなったね。でもそんなエロイ・濃ゆい・腹黒いオヤカタ様の変わらぬ姿にみんな安心してついていくのさ。
・由布
「生き地獄でもいい、生きてみたい」に色々集約される生への意志の権化(生への執着ではない)。他人の性質や腹の内はよく見通すが、自身の内にある未知の情熱を制御するすべを知らない。そもそも女人であることをうまく受け入れられないらしく、内にくすぶるやり場のないエネルギーに苦しむが「悋気はおやめくだされ」「我々女が殿方に馬鹿にされぬように」など女の業として一般論で片付けられてしまうのが哀れ。あのまま側室にならずにただの女として過酷に自由に生きた方が性に合ってたんじゃないかとも思える。一歩間違えるとヤンデレになりそうな心の闇や情念を勘助に話すことで浄化していたようだが、真に受けた勘助は「わしが鬼にならねば…」とかいって暴走するのでたとえ悪意がなくても迷惑なタッグではある。
恋愛感情の表現が下手(演者・脚本ともに)という指摘にはうなづくしかないけど、たまにはこういうアンチロマンスなヒロインや関係性がメインに来てもいいじゃないかと思うんだ。部外者として客観的なコメント吐く姿は巫女めいてて良かったし、死ぬ回の硬軟の使い分けは素晴らしかっただけにダークサイドばかりクローズアップされたのはもったいない。
・三条
正妻として、母として、そして戦国の女人としてはんなりと正論を吐く老けない女性。彼女にとって女人であることは天然自然の理であり、その上に良妻賢母たるべく側室に対しても努めて優しく毅然とふるまう。望みはただ家族の平穏と幸せ、「運命は素直に受け入れるもの」という諦念めいたスタンスが信玄・勘助・由布姫と対照的。とくに由布と彼女を対比してみると「聡明さ」と「賢明さ」は全然別のものなんだということが良く分かる。
後世視点が入ってるせいかやたら未来を憂うのでどうにも悲観主義者っぽい。武田に嫁ぐ以前に人生観を決めてしまうような大きな失意でもあったのだろうか。それとも大井夫人の精神を継承したのかな。嫁姑の会話でもどこか通じ合うものがあったようだし。でも嫁ぎゆく娘にはもっと勇気付けるようなことを言ってやってほしい!!基本いい人な母三条と異なり、嫡男義信は場面によって株のage/sageが激しい。
・真田
この大河に欠けがちなホームドラマ分というか「夫婦愛と成功物語」という成分を補う貴重な一家。そんな真田家の夕べには何故か子供たちではなくひこにゃん似の相木殿が常駐しているのであった(勘助もな)。家臣団の中でもわりと独立してエピソードが立てられていた。
・平蔵
話の都合によりほのぼの要員→薄幸な若者→ヘタレのろくでなしというキャラの変遷を経ることに。恨みフラグも幾度か度重なると却って純粋さというか説得力がなくなるんだなぁというのが主要な発見。序盤はよかった…(遠い目)
・ガクト
琵琶・太鼓の音とともに現れるヅカメイクの軍神。信玄を欲にまみれた人物として心底嫌うが、いくらもっともらしく反省や成長をくり返したところで大して本質が改まらないあたりはこちらも同じである(というか全登場人物のなかで劣化も老化も迷走もせずしっかり成長という名の変化を遂げてるのって香坂ぐらいなのでは)。人の話を聞かないこと丘処機の如し。三太刀で軍配に七つ傷がつくのは葵花宝典の使い手だからだ、だから妻帯しないんだ、とか一視聴者としてはしょーもないことばかり思い浮かんでしまう。
あと細かい感想は割愛するけど、ミツも信虎も伝兵衛も葉月も太吉も雪斎も宇佐美も義元も寿桂尼も板垣も甘利も小山田もみんなみんな大好きだ!一年間元気をありがとう。
とりあえず今聴きたいBGM:
・「水鳥になりたい」の場面の笛
劇中のメランコリックなシーンで流れる他の曲を短調から長調にしたとおぼしきもの。由布姫ダークサイドから解放されたのだなぁと感慨が…
・最後のナレ→ミツの言葉のBGM
劇中の普通のシーンにも使われてた気もする。勘助の生涯の締めくくりに、微音でほのかに立ち上る静かな曲調が感傷と放心状態を生む。ちょっとゲームオーバーっぽい。
歴史的意義とか勘助死後の武田家がどうなる、といったことよりも、登場人物の「今を生き切る意志」みたいなもんが印象的でした。後の世の後知恵でごちゃごちゃ抜かすな、みたいな。
・勘助
中年まで浪人生活を続け、外見への差別を乗り越えた末ついに軍師としてとり立てられた就活生たちの希望の星。「自分にとって(守るべき)国とは人なのだ」との言葉どおり、武田への恨みを解き軍師として採用してくれた信玄、勢いで惚れ込み助命してしまった由布姫の両者に天下を取らせるため良くも悪くも奮闘→それでは偏っている、軍師として志が低すぎると敵味方あらゆる人に突っ込まれまくる。由布に「もっと視野を広く持て」とか説教してたけど人のこと全く言えんやんけ。だがその到底軍師らしからぬ視点の低さが逆にいじましい。
彼にとってミツ・リツが面と向かって「勘助はこういうところが素敵じゃ」と評価してくれる存在だとすると、由布姫にはミツに重ねてというよりもむしろ己の核となる部分に共鳴するところがあったんじゃないか。ある意味もっとも弱く醜く柔い部分に。でもあくまで〔一方的な感情移入〕→←〔何でも素直に話せる信頼感〕という関係なので互いに相手の本質を理解しようとしてるわけじゃないのなー。信玄ダークサイドの代弁者たらんとしている勘助だが、自身のダークサイドは由布姫に代弁させていたような節がある(そう思うと嫌な共犯関係だなこの三人)。
・信玄
勘助、由布姫と並ぶ欲望肯定キャラ。人たらしの素質と厚黒さをかねそなえた戦国武将。ヒゲ生やしてからは普通に男前に見えた。とくに坊主頭はおまんじゅうみたいで美しい、触りたい。ハムレットのごとき悩める青年時代、メイクも黒いぜ暗黒時代を乗り越えたのちはあまり変化しなくなったね。でもそんなエロイ・濃ゆい・腹黒いオヤカタ様の変わらぬ姿にみんな安心してついていくのさ。
・由布
「生き地獄でもいい、生きてみたい」に色々集約される生への意志の権化(生への執着ではない)。他人の性質や腹の内はよく見通すが、自身の内にある未知の情熱を制御するすべを知らない。そもそも女人であることをうまく受け入れられないらしく、内にくすぶるやり場のないエネルギーに苦しむが「悋気はおやめくだされ」「我々女が殿方に馬鹿にされぬように」など女の業として一般論で片付けられてしまうのが哀れ。あのまま側室にならずにただの女として過酷に自由に生きた方が性に合ってたんじゃないかとも思える。一歩間違えるとヤンデレになりそうな心の闇や情念を勘助に話すことで浄化していたようだが、真に受けた勘助は「わしが鬼にならねば…」とかいって暴走するのでたとえ悪意がなくても迷惑なタッグではある。
恋愛感情の表現が下手(演者・脚本ともに)という指摘にはうなづくしかないけど、たまにはこういうアンチロマンスなヒロインや関係性がメインに来てもいいじゃないかと思うんだ。部外者として客観的なコメント吐く姿は巫女めいてて良かったし、死ぬ回の硬軟の使い分けは素晴らしかっただけにダークサイドばかりクローズアップされたのはもったいない。
・三条
正妻として、母として、そして戦国の女人としてはんなりと正論を吐く老けない女性。彼女にとって女人であることは天然自然の理であり、その上に良妻賢母たるべく側室に対しても努めて優しく毅然とふるまう。望みはただ家族の平穏と幸せ、「運命は素直に受け入れるもの」という諦念めいたスタンスが信玄・勘助・由布姫と対照的。とくに由布と彼女を対比してみると「聡明さ」と「賢明さ」は全然別のものなんだということが良く分かる。
後世視点が入ってるせいかやたら未来を憂うのでどうにも悲観主義者っぽい。武田に嫁ぐ以前に人生観を決めてしまうような大きな失意でもあったのだろうか。それとも大井夫人の精神を継承したのかな。嫁姑の会話でもどこか通じ合うものがあったようだし。でも嫁ぎゆく娘にはもっと勇気付けるようなことを言ってやってほしい!!基本いい人な母三条と異なり、嫡男義信は場面によって株のage/sageが激しい。
・真田
この大河に欠けがちなホームドラマ分というか「夫婦愛と成功物語」という成分を補う貴重な一家。そんな真田家の夕べには何故か子供たちではなくひこにゃん似の相木殿が常駐しているのであった(勘助もな)。家臣団の中でもわりと独立してエピソードが立てられていた。
・平蔵
話の都合によりほのぼの要員→薄幸な若者→ヘタレのろくでなしというキャラの変遷を経ることに。恨みフラグも幾度か度重なると却って純粋さというか説得力がなくなるんだなぁというのが主要な発見。序盤はよかった…(遠い目)
・ガクト
琵琶・太鼓の音とともに現れるヅカメイクの軍神。信玄を欲にまみれた人物として心底嫌うが、いくらもっともらしく反省や成長をくり返したところで大して本質が改まらないあたりはこちらも同じである(というか全登場人物のなかで劣化も老化も迷走もせずしっかり成長という名の変化を遂げてるのって香坂ぐらいなのでは)。人の話を聞かないこと丘処機の如し。三太刀で軍配に七つ傷がつくのは葵花宝典の使い手だからだ、だから妻帯しないんだ、とか一視聴者としてはしょーもないことばかり思い浮かんでしまう。
あと細かい感想は割愛するけど、ミツも信虎も伝兵衛も葉月も太吉も雪斎も宇佐美も義元も寿桂尼も板垣も甘利も小山田もみんなみんな大好きだ!一年間元気をありがとう。
とりあえず今聴きたいBGM:
・「水鳥になりたい」の場面の笛
劇中のメランコリックなシーンで流れる他の曲を短調から長調にしたとおぼしきもの。由布姫ダークサイドから解放されたのだなぁと感慨が…
・最後のナレ→ミツの言葉のBGM
劇中の普通のシーンにも使われてた気もする。勘助の生涯の締めくくりに、微音でほのかに立ち上る静かな曲調が感傷と放心状態を生む。ちょっとゲームオーバーっぽい。
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